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松岡圭祐「ミッキーマウスの憂鬱」 2008/11/22

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫 ま 34-1)

松岡圭祐「ミッキーマウスの憂鬱」を読了。とあるWEBページで某有名テーマパークのことが話題になっていた。そこで紹介されていたのがこの本である。前々からイロイロあるとは聞き及んでいたので、真偽を確かめるべく取りかかったのである。先に書いておくけど、千葉県にある某有名テーマパークと本書の内容は全く関係ありません。巻末に下記の文面が記されています。

この物語はフィクションです。実在の団体名、個人名。事件とは関係ありません。その為、実在しない名称、既に廃止された名称等が含まれています。
松岡圭祐「ミッキーマウスの憂鬱」 P.252

読む前に奥付を確認するクセがある。いつも通りに奥付を確認していたら、エクスキューズの文面を見つけたのである。「えーと・・・そうなの?」が正直な感想だ。出版社が新潮社だし、てっきり真っ向勝負で書いた作品に違いないと考えており、小説ではなくノンフィクションだとさえ思い込んでいたのだ。内容をチェックせずタイトル借りたのがバレバレです。まあこれは仕方ないといえば仕方ないか。法務部の柿崎さん対策と理解しておきましょう。

簡単にまとめれば、この作品は単純な勧善懲悪ものやサクセスストーリーではありません。夢いっぱいの青年が現実と理想の狭間でもがく物語。格差社会への問題提起みたいな要素もいくらか含まれている。理想だけを追求できれば幸せだけど、悲しいことにそういうわけにはいかない。現実に足を据えてないと風船おじさんみたいに遠くに飛ばされてしまう。どちらか一方だけを選ぶと、いずれ偏るのは明らかだ。「100%の〜」なんてのはろくなものではない。与党と野党みたいなもので、健全な野党が健全な与党を作るのだ。

夢の国は幻想の上に成り立っているのではない、現実の上に成り立っている。夢の国を維持・運営するには現実に足を置いた人々の支えが必要だ。当たり前すぎるくらい当たり前のことだけど、かように事実を真正面から突きつけられると、正直なところ困ってしまうのだ。高校生の頃であれば、胸のうちに熱いものを感じたであろうが、今となっては「それはそれこれはこれ」である。夢いっぱいの商品を作り出す機械は、まぎれもない現実に拠っている。メンテナンスも必要だし、時にはオーバーホールも必要だ。減価償却だってされている。夢を提供する商売に携わる人は、夢を損なう行為を行ってはいけない。若い頃にアイドルとして芸能活動をしていた人が、何十年か後に暴露本を書くなんてファンへの背信行為に他ならない。ほんと勘弁してつかーさい。

ゲストもキャストも正社員も役員も、それぞれが自分の役割を演じている。誰が欠けてもテーマパーク(会社)はうまく回らない。1万人のキャストをまとめる役は必要だし、逆にまとめ役だけでは運営すらできない。大切なのは何が大切であるかを理解して行動することだ。同時に相手を尊重することも忘れてはならない。今の社会に最も欠けているのが「相手を敬い尊重すること」だろう。こいつが欠けると、途端にギクシャクしてくるからいけない。人間だってしょせんは動物なのだ。従来の会社ヒエラルキーに加えて、小泉改革の後に雇用体系の違いからくる立場の違いが生じている。自民党をぶっこわせのかけ声で日本の中産階級をぶっ壊しちゃったのだ。立場の違いは他者を軽んじることにつながりやすい。上を見るより下を見て暮らせではいけない。夢を売る商売にとっての天敵は何か。こんなことは少し考えればすぐに分かる。数多のアイドル・タレントがイメージを損なうスキャンダルで埋没していった。油断はできないのだ。

100%映画化もドラマ化も漫画化もアニメ化もラジオドラマ化もされない作品でしょう。小説で読むしかありません。理由は説明しませんが、マスコミがトヨタ自動車を批判しないのと同じ理由・・・かな。

最後の最後が大岡裁きだったのには面食らった。いやいや、そうくるか。つーか、中に人は入ってないんだぜ。

「勧善懲悪ものやサクセスストーリーでは」と書きました。ネタレスにマジレスを返されたような、ある種のイタサを常に感じ続けたのがその理由です。なぜかというのは読めば分かると思う。汚れてない人は真逆のことを感じるかもしれない。それ自体は何ら悪いことではない。むしろうらやましい。

あそこが大好きな人は、あえて読む必要はないでしょう。楽しむ時は思いっきり楽しめばいいのです。所定の料金を支払っているのだから、思いっきり羽根を伸ばせばいいのです。余計な情報を入れて楽しみを損なうのはもったいないことですものね。

最後になりましたが評価は「★★★☆☆」です。事前の期待値が多かったので相対的に評価が★1つ分下がりました。予備知識がなければ★4つは確実かな。期待していたのはノンフィクションだったのです。まあ仕方ない。決して駄作ではありません。そこは誤解のないように。

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野武士旅団
このページは野武士旅団のコンテンツです。運営者(ウンエイモノ)は大和46サンチ(もしくは藤原源平)。趣味は読書と旅行。読書スタイルは濫読。旅行は貧乏旅行。旅の相棒はホンダのスーパーカブ90。座右の銘は「格好なんて後からついてくるもんだ」 投資はやってない。元本も保証しない。特価0円の裏には何かあると考えちゃうタイプ。セールス電話を問いつめちゃう人なので、2度目にかかってくることはまずない。
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